会長挨拶


会長就任のご挨拶 

地域漁業学会会長 亀田和彦


 今期から学会長をつとめるにあたり、ご挨拶いたします。
 地域漁業学会が西日本漁業経済学会の改組を経てスタートした時には、活動の3本柱「地域性、学際性、国際性」に議論が集中しました。その議論に当時の私が感じたことは、会員の研究に対する価値観と切り口が多様である、各会員の研究意識の発露の場が大会の報告やシンポジウムに限られる(勉強会は私的な任意案件)、会員は対面型の大会と冊子媒体を通して研究成果を聞き自身の研究に刺激を得るという手順が持つ重要性(受け止める素養が必要)などでした。とくに3点めについては、受け止める素養は自身で生み出すものだと誰もが考えていると受け止めていました。
 実は、上述のような接点を持ち刺激を得ることに私は改めて注目しています。最近のコロナ禍を受けて、当学会では対面型によらずオンラインで、いつでも研究の成果や途中経過を交換できるようになり、その経験則を積み上げつつあります。コロナ禍以前から、「3本柱」に共感する会員は自己の専門分野とは異なる(あるいは隣接する)研究に対して積極的に耳を傾けています。あえて惜しい点を挙げるなら、シンポジウムの参加状況には、会員の専門分野が影響していることもあるようです。
 私は、当学会が、会員どうしの意見交流機会をさらに増やせないだろうかと考えています。他者の研究に触発されることは以前にも増して重要です。その柔軟性とスピードは現代や今後の研究活動に強く求められています。成果公表段階だけでなく研究の着手段階や進捗段階でも他者と関わる、異分野どうしが触発し合う(されあう)ことで研究が発展する、そうしたことが当学会の3本柱を太くして柱どうしの連携で学問を前に進める原動力になる、と考えています。
 当学会の活動に更なるご理解を賜りますよう、お願いいたします。   拝