会長挨拶


過去の蓄積・未来への布石 

地域漁業学会会長 山下東子


 1959年に「西日本漁業経済学会」として発足した当学会は61/62年目に入っています。この間、学術研究の深化・拡大と地球規模でのグローバル化に後押しされ、当学会のモットーである「地域性、学際性、国際性」が持つ意味も発展的に変容してきました。

 特に近年は学会大会での一般報告数が安定的に増加し、学会誌において報告論文というジャンルが新設されたこともあり掲載論文数が増え、おかげさまで学会活動は活性化しています。事務局業務と編集業務の一部を外注化したことにより、学会運営を分掌する会員各氏がより専門性を生かした業務に専念できるようになってきたことも、近年の成果として挙げておくべきでしょう。

 しかし課題は山積しています。ここでは情報化対応と世代交代の2点を取り上げます。ホームページやメーリングリストの活用という意味では情報化はすでに浸透しているのですが、論文の電子化においては、世間の、また他学会の後塵を拝しています。2019年度総会で論文の電子化に向け検討を開始することが決まりましたので、早ければ2021年に学会誌は従来の紙媒体に加えて電子的刊行が実現するでしょう。問題は過去60年にわたって蓄積された900本余りの論文の扱いです。どこまで遡るか、費用はどうするかなどについて、ぜひ皆さんのお知恵をお貸しください。

 こうした新しい課題に機動的に対応するためにも、学会の中核的担い手の若返りが必要です。世代交代を進めることで、入会後日の浅い会員諸氏にもその次の世代交代に向けて心づもりをしてもらえるでしょう。一方、OB・OGとなったわれわれも研究者としては生涯現役を目指し、学会運営については求めに応じて後方支援に回らせてもらう、このような理想像を描いています。

 過去の研究蓄積を生かすこと、学会運営を次の世代に託すこと。これらは伝統ある当学会が次の60年を目指すために打っておくべき未来への布石であると考えています。